おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記/佐藤初女
買い物に行くと目にも鮮やかな春の食材が出揃っていて、「おいしそう!」と狩猟本能がおおいに刺激される今日このごろ。
食べることについて、今一度考えてみたいと思い手に取りました。
おむすびの祈り「森のイスキア」こころの歳時記 (集英社文庫)
- 作者: 佐藤初女
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/07/20
- メディア: 文庫
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食はいのち。佐藤初女さん、感動のエッセイ。
青森、岩木山麓にある“森のイスキア”主宰の佐藤初女さん。彼女の握る“おむすび”で、これまで多くの悩める人々が救われたという。少女時代の闘病生活から現在までを率直に綴る自伝的エッセイ。
以前、“森のイスキア”についてのご本は読んだのですが、著者の半生については初めて知ることばかりです。
特に『受洗の恵みに与る』の章でのご主人をちくっと戒めるようなやりとりや、『文庫版の完成によせて』での息子さんとのお話からは意外な一面をうかがい知ることができました。
立派な活動やお考えから、自分とはかけ離れた雲の上の人のように勝手に決めつけていたけれど、その表の部分を支えていたのは恐れ多くも私と同じ、妻であり母であり少女であった一人の女性の姿でした。
ご自身がお若いころにご病気になられた経緯や、時間や状況を問わず訪ねてくる方への思いなど、かなり鋭くはっきりとした意見をお持ちでありながら、同時にとてもあたたかくて。
つらくとも誰を責めるわけでなく、自らの信じる人生を全うしようとされている姿は美しく映りました。
物の扱い方にも真摯さが現れていて、愛用されているすりこぎや、縁あって手元にきたイスキアの鐘に対して、なんて豊かな向き合い方をされているのだろうと見習いたく思いました。
そしてやっぱりなんといっても食についてのきらめく言葉たち。
丹精込めて作られたお漬物や梅干しのなんとおいしそうなこと!
我が家の話になりますが、お休みの日などせっかくだからと「外食する?」と尋ねてみると、「作ってもらわなくちゃならないから申し訳ないんだけど、くま(私のことです)の手料理が食べたいな」と言ってもらえるのはありがたいことなんだと気がつきました。
比喩でなく、私の作ったものが主人や息子の体、明日からの毎日、ひいては人生の土台になるのだということを忘れずにいたいです。
凝ったものは作れないけれど、一品一品を丁寧に手がけていこうと思います。
…といっても主人のブログからもおわかりいただけるように、私が気負うまでもなく、だいぶ甘えさせてもらっているんですけれど。
毎日の食事を作っていると、人が作ってくれたものって、ほんとうにおいしくありがたくいただけますね。
頼らせてもらいながらもしっかりと責任をもって、日々の食卓を充実させていきたいと決意を新たにしました。